昨日発売された『SFが読みたい!2011年版』から新井素子さんの話題を拾ってみました

SFが読みたい!〈2011年版〉発表!ベストSF2010「国内篇・海外篇」

SFが読みたい!〈2011年版〉発表!ベストSF2010「国内篇・海外篇」

毎年恒例のSFガイドブック、『SFが読みたい!』(早川書房)が昨日発売されました。SF関係者の投票によって選ばれた2010年のベストSF[国内篇]・[海外篇]のそれぞれ上位20作品が発表されています。昨年刊行された新井素子さんの『もいちどあなたにあいたいな』がひょっとしてランクインしているのでは、と思っていたのですが入っておりませんでした。ちと残念です。
記事の中に新井素子さんの名前がポツポツと登場していますので、その箇所を拾ってみます。

1) ベストSF2010[国内篇]:ランク外の注目作(P.15)

もいちどあなたにあいたいな』はここで登場していました。

ベテラン〜中堅作家では、新井素子が七年ぶりの長編『もいちどあなたにあいたいな』(新潮社)を刊行。おなじみの文体の力の健在ぶりを見せつけた。

他に新井素子さんの短編「つつがなきよう」が収録されたアンソロジー『逆想コンチェルト』も取り上げられています。(『逆想コンチェルト』はP.114の「アンソロジー・ガイド」でも紹介されています。)

もいちどあなたにあいたいな

もいちどあなたにあいたいな

2) 2010年SF総括座談会「エンタテインメントとジャンルSFの間で」(P.34-41)

鏡明×北上次郎×大森望によるベストSFランキングについての総括座談会。『もいちどあなたにあいたいな』の話題が登場してきます。文中にはちょっとネタバレがあります。P.37より。

大 (略)『もいちどあなたにあいたいな』。これはどうもSF読者にはあまり読まれていないらしくて、ベスト20にも入っていない。
鏡 俺、あれはけっこう感心した。最後に「この手があったのか!」って思ったよ。
大 そう、あのオチは衝撃ですよね。
鏡 それをあの文体でやるから恐ろしいんだよな。あの文体が芸というか、強い武器ということが、よくわかる。
大 この作品は、量子論SFだと説明するとネタバレになるという致命的な問題があって、SFとして紹介しづらいんですが、刊行から一年以上経つからもういいでしょう。未読の人は今からでも探して読んでください。

鏡氏は『本の雑誌』2011年1月号の「ベストSF2010」で『もいちどあなたにあいたいな』を第4位に選んでおりまして、そのランキングはP.35に掲載されています。(→素研:新井素子登場物:『本の雑誌』2011年1月号
ちなみに、もう一人の話者である北上氏はここで話に絡んで来ませんけども、『SIGHT』VOL.43での大森氏との書評対談でこの作品について匙を投げておりましたから、それも当然かという気がします。(→素研:新井素子登場物:『SIGHT』VOL.43

3) マイ・ベストSF[国内篇](P.52-67)

SF関係者(作家・評論家・翻訳家など)が2010年に印象に残ったSF作品を5点選んだアンケート結果が掲載されています。『もいちどあなたにあいたいな』は唯一人、小谷真理氏が挙げていました。P.58にこのように書いてあります。

あまりに多忙だったせいか、ちょっとの隙間にほっとくつろげる作品が鮮明に記憶に残っている。それにしても、新井作品に登場する「卑怯階級」の破壊力には笑った。

同じくP.58では、新装版『・・・・・絶句』の表紙イラストを担当したcoco氏が5位にその『・・・・・絶句』を挙げていました。下記のようなコメントが付いています。

幸せといえば今年『・・・・・絶句』のカバーを描かせていただいたこと。二重の意味で忘れられない作品となった。

↓coco氏の描いた『・・・・・絶句』の表紙はこちら。
…絶句〈上〉 (ハヤカワ文庫JA) …絶句〈下〉 (ハヤカワ文庫JA)

4) このSFを読んでほしい! SF出版各社2011年の刊行予定(P.118-120)

P.115の出版芸術社の欄に『日本SF全集』3巻と4巻を連続刊行予定、と書いてあります。3巻『1978-1984 SFの浸透と拡散』には新井素子さんの作品も収録される予定です。
尚、昨年のSF大会新井素子さんが『星へ行く船』シリーズが出版芸術社から再刊されるかもと仰っていたと又聞きしたので、予定に上がっているかなと期待していたんですが、残念ながら書いてはありませんでした。

5) 2010年度SF関連書籍目録(P.165-189)

P.189に『もいちどあなたにあいたいな』、P.188に『逆想コンチェルト 奏の1』と『・・・・・絶句』が載っています。