駄目じゃないけど買い手がつくかな。和久井映見でやりたかった企画RT @suzukijun2: @shusukekaneko 昔、金子監督が新井素子さんの「ひとめあなたに・・・」の映画化を〜今だったら〜内容的にも興味深いものになると思うのですが・震災後だと生々しくて駄目でしょうか?
— 金子修介 (@shusukekaneko) 2012年2月20日
僕の前に中原俊さんがやろうとして潰れたRT @lotus_cafe: 大好きだった小説です!実現したらいいのに RT @ shusukekaneko和久井映見でやりたかった企画RT @suzukijun2: @ 昔、金子監督が新井素子さんの「ひとめあなたに・・・」
— 金子修介 (@shusukekaneko) 2012年2月20日
一週間程前、twitterで映画監督の金子修介氏がこんなことを書いていて、『ひとめあなたに…』映画化の企画があったことなど全く知らなかったので、とても驚きました。金子氏の作品には当時の特撮ファンの熱狂的支持を受けた「平成ガメラ三部作」がありまして、氏の『ガメラ監督日記』(1998年)にその顛末が書いてあることをフォロワーさんに教えて頂いたので、早速古本を取り寄せて読んでみました。以下、関連する箇所を抜粋します。
「第1章 怪獣映画への道」P.48。金子氏は日活で助監督として勤めながら大学映研の先輩である押井守氏の紹介でアニメ『うる星やつら』の脚本執筆のアルバイトをすることになり、そこで後にガメラの脚本を依頼する伊藤和典氏と出会った、という話の中で。
僕は『うる星』は首になったが、2年ほどして同じ製作会社・スタジオピエロで『魔法の天使・クリーミーマミ』*1も書く機会を得た。
この『マミ』で島田満氏と出会い、十数年経って『学校の階段3』『ひとめあなたに』を、お願いすることになった。
次に、「第3章 『G2』そして『G3』新たなる旅立ち」P.250-251。『G2』=『ガメラ2 レギオン襲来』(1996年公開)の次に『G3』を製作するのか、という話の中で。*2
また、本当に『ガメラ3』をやるなら、『ガメラ2』公開の時には何か方針でも決まっていないとスケジュール的にはきつい……と、『ガメラ1』公開時の再放送みたいな状況になってきた。違っているのは、僕の次の作品が決まっていること。さらに、その次の『ひとめあなたに』も決まりかけていた。
P.254。
こりゃ『ガメラ3』をやらないとまずい、という感じであった。
だが、正式決定は、それから4カ月も経ってからのことである。僕は『学校の怪談3』にとりかかり、『ひとめあなたに』も脚本直しの段階に入っていた。(注)樋口氏にも新しい仕事があってスケジュールはまるで見えない状態。本編スタッフもバラバラになっている。みんなフリーだから確実な仕事を受けていかねば生きていけない。
P.256-257。
(注)『ひとめあなたに』は新井素子さん原作、隕石があと1週間で衝突して地球は滅ぶから、別れた恋人に会いに行こうと、電車も車も使えない状態の東京から鎌倉まで歩いていく、という話で、10年以上前に中原俊さんがATGで映画化を試みたが実現せず、今回、僕が挑戦し、隕石を流星群にして、夜毎小さな隕石が降る中、瓦礫の街を歩く話にした。もちろん、最後は大きなヤツが来て、地球は滅亡。
何度も書き直して、そろそろキャスティング、という状況の時、出資を予定していた某広告代理店が、女子高生にマーケティングを試みた。映画の脚本なんか読んだことのない7人の女子高生にこれを読ませ、輪になって感想を語るところをぼくらはマジックミラー越しに見て聞くというグループインタビュー。脚本直しにおいて、なかなか参考になる意見もあったが、「地球が滅ぶなら危険をおかしてまでカレシに会いに行かない」という女子高生気質でネガティブな反応もあり、この代理店は出資を止めてしまい、製作は無期延期。なんじゃ、こりゃ。
女子高生に恨みはないけど、代理店のおじさまたちの主体性って何なの?
『学校の怪談3』は1997年の公開だったので、企画が実現していれば1998年くらいには見ることができたのかも知れませんね。なんとも惜しい話です。
再チャレンジする監督さんは現れませんかね。今の日本の情景に異様にマッチする話だと思うんですけど。
(全然関係ないですけど、主役候補だった和久井映見は、1998年にはテレビドラマ『殴る女』に出ていたなあ、と懐かしく思い出しました。)
- 作者: 金子修介
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 1997/12
- メディア: 単行本
- 購入: 2人 クリック: 31回
- この商品を含むブログ (14件) を見る
*1:引用者註:固有名詞は原文のままで、正しくは「スタジオぴえろ」「魔法の天使クリィミーマミ」。