幻の同人誌『ウロン文学選集』の復刻版が復刊ドットコムより刊行

復刊ドットコムより『ウロン文学選集』の復刻版が刊行されました。

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極小部数しか作られなかった幻の同人誌だったのです。個人的な話をすれば、その月報に新井素子さんが寄稿していたことを知ってから、なんとか入手できないものかとずっと探していたのですが、たまにネットオークションで見かけても価格がどこまでも上がり続け、まるで天上の神々の戦いを下界から眺めている気分になりました。とても手が出ず、これはただの人間にはもう一生手に入れることは不可能だと諦めていました。
そこへこの復刻版刊行の知らせです。価格が価格だけに少し悩んだもののやはりこの期は逃せない、と買ってしまいました。
果たして初めて肉眼で確認したクルムへトロジャン『へろ』の月報には、錚々たる執筆陣が寄稿していたのでした。

第一回配本/クルムへトロジャン『へろ』
ウロン文学選集11
知佳舎
月報1/1980年8月

クルムへトロジャン肖像&カット……高橋留美子
「異説クルムへトロジャン」……萩尾望都
「ウロン語大全序章 ウロン語と聖なるもの」……阿島俊米沢嘉博
「ウロン語の言語学的考察」……月館彰生(月館敦子)
「ウロン村探訪記(上)」……宇野信一郎
「練馬ウロン遺跡探訪記」……新井素子
「浦幌にウロン遺跡を訪ねて」……川淵洋(八島久幸)
「高一のときの思い出」……とり・みき

なんという眼福。
ご覧の通り、『まるまる新井素子』に収録されていた「練馬ウロン遺跡探訪記」の初出がこの月報だったのです。
また、今回の復刻にあたって新たに付けられた月報3で、この同人誌の作成過程が詳らかに語られ、新井素子さんがどうして参加することになったのかが判明したのもうれしい限りでした。
「へろ」本体も、矢野徹氏の序文や吾妻ひでお氏のイラストも、いちいち歓声を上げてしまうほど感動しました。しかも「ふるむまかをめら」との2冊セットで、感動がさらに倍です。買ってよかった。
2020年5月19日現在、復刊ドットコムにはまだ在庫が少し残っているようです。迷っている方はお早めにご決断を。