新井素子さんが作家デビューを飾るきっかけとなったのが、雑誌『奇想天外』が開催した「第1回奇想天外SF新人賞」でした。応募作「あたしの中の……」が星新一氏の激賞を受け佳作を受賞、1978年2月号(1977年12月発売)に掲載されて、「作家・新井素子」が誕生しました。
この第2期『奇想天外』時代には、1978〜1981年にかけて「大きな壁の中と外」*1、「宇宙魚顛末記」、「グリーン・レクイエム」、「扉を開けて」と立て続けに作品を発表、第3期『小説奇想天外』にも1987〜1988年に「今はもういないあたしへ…」が掲載されました。
このように新井素子さんと縁が深い『奇想天外』が、21世紀の今、アンソロジーとなって帰ってきました。『復刻版』と『21世紀版』の2冊同時発売です。
『復刻版』には前述の「第1回奇想天外SF新人賞選考座談会」の抜粋を「あたしの中の……」の選評を中心に収録。選考委員は星新一・小松左京・筒井康隆の三氏。「あたしの中の……」を巡り、話作りの上手さと新時代に対応したテンポを持つ文体を認めた星が熱烈に推し、文体に拒否反応を示す小松・筒井と熱い議論を戦わせています。この座談会をあえて収録したというのが、いかにその内容と新井素子さんの登場がセンセーショナルだったか、ということの現れだと思います。新井素子ファンは必読です。*2
『21世紀版』には新井素子さんの新作短編小説「階段落ち人生」を収録。「ジャンルは問いません、ともかくとびっきり奇想天外なお話を――」という編集者から依頼に応えた、まさに奇想天外なお話です。
読了後、これシリーズ物になりそうだし続きが読めたら最高なのに、と思ってツイートしましたら、関係者の方からお返事を頂きました。
『奇想天外 アンソロジー 21世紀版』に掲載された新井素子さんの短編小説「階段落ち人生」、続きが読みたくて仕方がないのですが、『奇想天外』を定期的に刊行して頂いて、そこに続編を定期的に掲載、という訳にはまいりませんか。
— 新井素子研究会 (@motoken1989) 2017年10月27日
売れ行きや読者の要望によっては来年もあり得るかもしれないと仄聞しております。皆さん応援してちょーだい! by Bizarre Brothers Band 🕶️ https://t.co/xg71KCnuKW
— BizarreBrothersBand (@kisou_tengai) 2017年10月27日
売れ行きや読者の要望によっては来年もあり得るかもしれないと仄聞しております。皆さん応援してちょーだい!
続編を読むためにもこれは応援せねば、と思いました。
ちなみに「21世紀版 奇想天外小説傑作選[国内編]」に掲載された小説は下記の8編でありました。
- 新井素子「階段落ち人生」
- 有栖川有栖「吠えた犬の問題――ワトスンは語る」
- 井上夢人「夢落ち」
- 恩田陸「降っても晴れても」
- 京極夏彦「俺たちの俺」
- 法月綸太郎「葬式帰り」
- 宮内悠介「三つの月」
- 山口雅也「首屋斬首の怪――落語見捨理全集」
それぞれのファンの方もぜひお楽しみください。
- 作者: 山口雅也
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*1:初出時のタイトルは「大きな壁の内と外」だったが編集部が間違えたとのこと。
*2:座談会の全文が気になる方は、『気まぐれ星からの伝言』(牧眞司編/徳間書店)に収録されております。→https://motoken.hatenablog.jp/entry/20160901/p2