講談社文庫が今年で創刊40周年を迎えるのを記念して、「書店員さん厳選&ミリオンセラー40」フェアが各地の書店で行われております。
→【講談社文庫|フェア】
書店員へのアンケートと40年間のベストセラーランキングを基に厳選された40冊が、フェアの対象となっています。長らく品切れ重版未定の状態だった新井素子さんの『グリーン・レクイエム』*1も選ばれまして、フェアに合わせて復刊されました。電子書籍では入手可能でしたが、書店で手に取ることができるというのはまた格別ですよね。実にめでたい。
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現在発売中の講談社の文庫情報誌『IN★POCKET』10月号では、
「創刊40周年、思いきってやりました! 講談社文庫、究極のお薦め文庫ランキング!」
という記念特集が組まれております。40年間のベストセラーが1〜50位まで掲載されているのですが、『グリーン・レクイエム』がなんと48位にランクインしていました。SFで50位以内に入っているのは星新一氏の『エヌ氏の遊園地』とこれだけ。
重里徹也氏、細谷正充氏、瀧井朝世氏による記念座談会でも言及されていました。P.255-257に「遠藤周作と新井素子」という章があります。
細谷 SFでランクインしているのは、星新一さんの『エヌ氏の遊園地』と、新井素子さんの『グリーン・レクイエム』の2作ですね。ちょっと寂しいですが、新井さんのランクインは驚きです。凄い人気だったんだなと思います。
瀧井 デビューが70年代後半ですよね。『グリーン・レクイエム』って、緑色の髪の毛の女の子が主人公のすごく切ない話でしたよね。コバルト文庫から出ていた『星へ行く船』のような軽くてお茶目な感じとはまたちょっと違う、しっとりした雰囲気のある小説でしたね。
細谷 新井さんの作品は、青春小説でもあります。新井さんは高校2年生でデビューして、饒舌体という独特の文体で、自分たちと同じ年代の気持ちを代弁していたんですね。それで同年代から、自分たちの世代の作家として受け入れられました。
瀧井 新井さんの作品は、少女小説とSFが合体したような感じもありました。
してみると、『グリーン・レクイエム』が選ばれたのは人気作であることと同時に「SF代表」という意味合いもあるんでしょうか。
まだ持っていない人はもちろん、既に持っている人も、書店で見かけたらぜひ手に取ってみて下さい。
- 作者: 新井素子
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1983/10/11
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全くの余談
隕石が落下して人類が滅亡する、という噂が昨日ネットで流れていたんですよ。
twitter上ではその噂で新井素子さんの『ひとめあなたに…』を思い出した人が多く見られ、タイムラインがその話で持ちきりでした。うれしくなってまとめてみたのがこれです。
みなさん、やはり「チャイニーズ・スープ」には強烈なインパクトを受けておられるようです。「宇宙魚顛末記」に触れている人もいますね。僕もそうですが。
講談社文庫版『グリーン・レクイエム』が復刊したこの時に、まあ何て間がいいんだろう、と思いました。
- 作者: 新井素子
- 出版社/メーカー: 東京創元社
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*1:その間に創元SF文庫から『グリーン・レクイエム/緑幻想』の合本が刊行され現在も入手可能ですが、「週に一度のお食事を」と「宇宙魚顛末記」は収録されていないのです。